ハラスメント立証のための秘密録音の証拠能力肯定。
(原告<歯科医師>が、不在時のスタッフ間の会話を秘密録音したもの。また、原告が患者との会話を秘密録音したもの。)
安全配慮義務が尽くされていない場合の不就労賃金請求権肯定。
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(2) 違法収集証拠
ア 被告らは、①診療録を写真撮影したもの、②予約画面及び印刷された予約表を写真撮影したもの、③控室におけるスタッフの会話等及び診察ブースにおける患者との会話を秘密録音したものについて、違法に収集された証拠であり、以下の理由から証拠の排除を求めている。イ 被告らは、①診療録を写真撮影したもの及び②予約画面等を写真撮影したものについて、証拠の申出が秘密漏洩罪に該当する、証拠の申出が個人情報保護法に違反する、証拠の収集が個人情報保護法に違反する、争いのない事実を立証するものであり、必要性がないと主張する。
次に、被告らは、③の控室でのスタッフ会話等の秘密録音は、患者や治療にかかる極めて秘匿性の高い個人情報がなされる場所で、会話の秘匿性が担保されていると通常想定して話をしているのであり、かかる場所での会話が録音されることはおよそ想定されておらず、違法性の程度は極めて高いこと、スタッフのブライバシーの侵害、すなわち人格権を侵害する不法な行為であると主張する。
また、被告らは、③診察ブースでの原告と患者との会話の秘密録音は、診察ブースでの患者と歯科医師との会話であり、患者は法律上の守秘義務を負っている医療従事者を信頼して行われるもので、その場でなされた会話が第三者に開示されることは想定されていない。かかる場における法律上の守秘義務を負うものとの間の会話が事前に許可を得られることもなく録音されることは、違法性が高いと主張する。
また、被告らは、③診察ブースでの原告と患者との会話の秘密録音は、診察ブースでの患者と歯科医師との会話であり、患者は法律上の守秘義務を負っている医療従事者を信頼して行われるもので、その場でなされた会話が第三者に開示されることは想定されていない。かかる場における法律上の守秘義務を負うものとの間の会話が事前に許可を得られることもなく録音されることは、違法性が高いと主張する。
ウ 民事訴訟法が証拠能力(ある文書や人物等が判決のための証拠となり得るか否か)に関して何ら規定していない以上、原則として証拠能力に制限はなく、当該証拠が著しく反社会的な手段を用いて採集されたものである場合に限り、その証拠能力を否定すべきである。
これを本件についてみると、①証拠は、許可なく診療録を写真撮影したもの、②証拠は、許可なく予約画面等を写真撮影したものであるが、これらを前提としても、著しく反社会的な手段を用いて採集されたとはいえないから、証拠能力を肯定すべきである。③証拠は、控室の会話に関する秘密録音の反訳書面で、控室における原告と被告乙山次子との会話、原告が不在時の控室内における本件歯科医院のスタッフの会話を、原告以外の発言者の知らないところでその発言を録音されたというものであって、これを前提としても、当該録音が著しく反社会的な手段を用いて採集されたとはいえないから、証拠能力を肯定すべきである。
また、甲第107号証は、診察ブースにおける原告と患者との会話の秘密録音の反訳書面である。当該患者は、守秘義務を負っている歯科医師の原告が許可なく、会話を録音し、それを外部に提出することは全く想定していないのが通常であり、当該患者の人格権に関する侵害の度合いは高いことは否定できないが、これを前提としても、録音された当該患者が証拠の排除を求める場合はさておき、少なくとも被告らとの関係においては、著しく反社会的な手段を用いて採集されたものとまではいえないので、証拠能力を肯定すべきである。
これを本件についてみると、①証拠は、許可なく診療録を写真撮影したもの、②証拠は、許可なく予約画面等を写真撮影したものであるが、これらを前提としても、著しく反社会的な手段を用いて採集されたとはいえないから、証拠能力を肯定すべきである。③証拠は、控室の会話に関する秘密録音の反訳書面で、控室における原告と被告乙山次子との会話、原告が不在時の控室内における本件歯科医院のスタッフの会話を、原告以外の発言者の知らないところでその発言を録音されたというものであって、これを前提としても、当該録音が著しく反社会的な手段を用いて採集されたとはいえないから、証拠能力を肯定すべきである。
また、甲第107号証は、診察ブースにおける原告と患者との会話の秘密録音の反訳書面である。当該患者は、守秘義務を負っている歯科医師の原告が許可なく、会話を録音し、それを外部に提出することは全く想定していないのが通常であり、当該患者の人格権に関する侵害の度合いは高いことは否定できないが、これを前提としても、録音された当該患者が証拠の排除を求める場合はさておき、少なくとも被告らとの関係においては、著しく反社会的な手段を用いて採集されたものとまではいえないので、証拠能力を肯定すべきである。
5 争点4(責めに帰すべき事由の有無)について
(1)ア 原告は、就労の意思を有しているが、被告法人が安全配慮義務を怠っているため、就労することができない旨主張する。
原告は、令和4年5月14日以降就労する旨の意思を表示している(前記認定事実(7))。また、前記2で説示したとおり、被告乙山次子による不法行為が認められる。
イ 被告らは、本件歯科医院は、P6が実質的に運営を担当し、被告乙山次子は、訪問診療に関わっていること、今後はP3を院長として新たな体制を運営していくことから、原告と被告乙山次子が接触する時間は限定的であり、被告乙山次子が原告に対して指揮命令する場面は生じない旨主張する。
しかし、口頭弁論終結日における被告代表者は、被告乙山次子である上、矯正に関して次の先生が手配できるまでは、週1、2回は本件歯科医院に出勤する必要があること(被告乙山次子)からすれば、現時点においては、安全配慮義務が尽くされたとはいえず、使用者たる被告法人の責めに帰すべき事由により労務を提供できなかったといえるので、原告は、労働契約に基づく賃金請求権を有する(民法536条2項)。
(1)ア 原告は、就労の意思を有しているが、被告法人が安全配慮義務を怠っているため、就労することができない旨主張する。
原告は、令和4年5月14日以降就労する旨の意思を表示している(前記認定事実(7))。また、前記2で説示したとおり、被告乙山次子による不法行為が認められる。
イ 被告らは、本件歯科医院は、P6が実質的に運営を担当し、被告乙山次子は、訪問診療に関わっていること、今後はP3を院長として新たな体制を運営していくことから、原告と被告乙山次子が接触する時間は限定的であり、被告乙山次子が原告に対して指揮命令する場面は生じない旨主張する。
しかし、口頭弁論終結日における被告代表者は、被告乙山次子である上、矯正に関して次の先生が手配できるまでは、週1、2回は本件歯科医院に出勤する必要があること(被告乙山次子)からすれば、現時点においては、安全配慮義務が尽くされたとはいえず、使用者たる被告法人の責めに帰すべき事由により労務を提供できなかったといえるので、原告は、労働契約に基づく賃金請求権を有する(民法536条2項)。
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