2023年3月31日金曜日

タイガー魔法瓶事件・大阪地判R4.10.28・ジャーナル132-44

ハラスメント損賠請求 棄却 下記は男女差別に関する主張(いずれも否定)

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 (オ)本件行為Eについて

証拠(甲8、9、乙5、証人P9〔7、8、14、17頁〕、X本人〔12、13、34、35頁〕)及び弁論の全趣旨によれば、

Y会社のお客様相談室においては、顧客宅への訪問対応をする可能性のある社員について、顧客対応時の責任者という意味で形式上「室長」と名刺に記載することとしており、男性社員は顧客宅への訪問対応をする可能性があったために「室長」とされ、女性社員は顧客宅への訪問対応をしないため「室長補佐」とされていたこと、

そのため、男性社員には「室長」、女性社員には「室長補佐」という肩書の名刺が配布されていたこと

が認められる。

前記認定によれば、Y会社のお客様相談室においては、事実上、男性社員に「室長」、女性社員には「室長補佐」という肩書の名刺が配布されていたことが認められるものの、その理由は、男性社員は顧客宅への訪問対応をする可能性があったために責任者という意味で形式上「室長」と名刺に記載されていたにすぎず、かかる理由が不合理であるとまではいえない上、「室長」と「室長補佐」は形式的な肩書の差異にすぎず、具体的な待遇面の差異があったとは認められないことからすると、かかる取扱いをもってXの権利利益が侵害されたとはいえず、また、男女差別を助長するものであったとはいえないから、職場環境配慮義務違反があったとはいえない。

したがって、本件行為Eにつき不法行為又は債務不履行は成立しない。

(カ)本件行為Fについて

証拠(甲4、6の1、28、乙5、証人P9 8、9、15、17頁、X本人18、40~42頁、YP3本人11、20頁)及び弁論の全趣旨によれば、打

合せ議事録(甲4)に、Y会社のコールセンターにおいて仕様変更連絡書の「男性回覧」を行っている旨記載されていること、

P7は、東京お客様相談室との情報交換会を行うに当たり、品質保証グループの各メンバーに対し、議題を送信したところ、その送信先はいずれも男性社員であったものの、同会の後、同会の議事録が同じメンバーに配信され、その後、Xを含む4名の女性社員にも配信されていること

が認められる。

前記認定によれば、Y会社において「男性回覧」なるものが行われていたことがうかがわれるものの、その詳細は不明である上、かかる「男性回覧」によってXが具体的な不利益を受けたとは認められない。また、前記認定によれば、東京お客様相談室との情報交換会の議題が男性社員にのみ送信されたことが認められるが、その理由は必ずしも明らかではなく、また、同会の議事録が男性社員にのみ配信されたのは、議題が送信されたメンバーと同一のメンバーに対して配信されたからにすぎず、殊更女性を除外したことによるものとまでは認められない

そうすると、これらをもってXの権利利益が侵害されたとはいえず、また、男女差別を助長するものであったとはいえないから、職場環境配慮義務違反があったとはいえない。

したがって、本件行為Fにつき不法行為又は債務不履行は成立しない。

(キ)本件行為Gについて

証拠(甲1、22、28、乙5、証人P9〔7、8、15頁〕、X本人〔18、19頁〕)及び弁論の全趣旨によれば、

カスタマー手当は、特定職務を担う社員に支給される職務手当の一種であり、顧客宅への訪問対応をする可能性がある者に支給されていたこと(2017年の就業規則の変更により「カスタマーサービスチームの該当者」に支給する旨の規定が置かれている。)、

クレーム対応等で顧客宅を訪問した場合、高圧的・威圧的態度をとられることが多く、従業員の安全確保の観点から、顧客宅への訪問対応をするのは男性社員のみとしていたこと、

そのため、カスタマー手当も事実上男性社員にのみ支給されていたこと

が認められる。

前記認定によれば、Y会社において、事実上男性社員にのみカスタマー手当が支給されていたものの、その理由は、従業員の安全確保の観点から、顧客宅への訪問対応をするのを男性社員のみに限っていたことに基づくものであり、かかる理由は合理的であるといえるから、かかる取扱いをもってXの権利利益が侵害されたとはいえず、また、男女差別を助長するものであったとはいえないから、職場環境配慮義務違反があったとはいえない。

したがって、本件行為Gにつき不法行為又は債務不履行は成立しない。

(ク)本件行為Hについて

証拠(甲26、28、乙5、証人P9〔8、17、18頁〕、X本人〔17、18頁〕)及び弁論の全趣旨によれば、

Y会社において、社員が当日の自らの予定を記載するための社内掲示板が男性社員と女性社員とで分けられていたこと

が認められるものの、当不当の問題は別にして、かかる取扱いをもってXの権利利益が侵害されたとはいえず、また、男女差別を助長するものとはいえないから、職場環境配慮義務違反があったとはいえない。

したがって、本件行為Hにつき不法行為又は債務不履行は成立しない。

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