2023年4月4日火曜日

大陽液送事件・大阪地堺支判令4・7・12・労経速2502-17

 偽装請負によるみなし雇用の主張 → 排斥

※業務遂行上合理的だから派遣には当たらないという論理は正しいか?

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業務遂行の指示

Xらは、一時期、Yの従業員からLINEで搭乗票の内容等を伝えられたこともあったものであるが、これは、Xらにおいて次の出勤日の予定やその変更内容を早期に知りたいとの要望があったことなどから、Yの従業員においてその便宜を図り、A社との間で個別契約が成立したものにつき、その内容を直接伝えるなどしたというものであって、これをもってYがXらに直接指揮命令したものということはできない。

 また、Xらは、交通事情により納入先の指定時間に遅れる場合やタンクの異常による問題が発生した場合等に、直接、Yに連絡して指示を仰ぐことがあったものであるが、本件業務委託契約上、A社は、本件運送業務中に事故が発生するなどした場合、直ちにその旨をYに報告する義務等があるものとされているのであり、上記のような場合にYが直接Xらから連絡を受けて指示を与えたとしても、業務遂行上の合理性があるものということができるから、これをもって直ちにA社が「労働者に対する業務の遂行方法に関する指示その他の管理を自ら行う」ものに該当しないということはできない。

労働時間に関する指示

Xらは、搭乗票の最終的な決定権限はYにあり、A社はYから送られてきた搭乗票や終業時にXらの提出した日報等を見て実際の労働時間を把握しただけである旨主張するが、搭乗票はYとA社との間で成立した各日の個別契約に基づいて作成されるものであり(申入れにより変更されることもある。)、その最終的な決定権限がYにあるものとは解されないから、Xらの同主張を採用することはできない。

服務規律・配置に関する指示

Xらは、Yの名称が縫い付けられた制服及び業務用ヘルメットの着用をYが命じていたから、A社は「労働者の服務上の規律に関する事項についての指示その他の管理を自ら行う」ことをしていなかったものであり、また、YがA社の人事権に介入しているため、A社は「労働者の配置等の決定及び変更を自ら行うこと」ができなかった旨主張するが、上記制服等の着用を命じていたのはYではなくA社であり(なお、Yの従業員とA社の従業員の制服等を統一することについては、高圧ガスという危険物を取り扱う者の安全を確保し、納入先等に安心感を与えるなどの合理的な理由があるというべきである。)、また、本件全証拠によっても、YがA社の人事権に介入している事実は認められないから、Xらの上記主張を採用することはできない。

資金

Xらは、A社が、ローリー車について適切な対価を出捐していない上、B車庫について使用料を支払っていない一方、有料道路使用料の全額又は大半はYが出捐している旨主張するが、A社は、ローリー車に係る各種費用等を負担しており、また、B車庫に係る土地の賃貸借契約(当初の賃料は月額20万6000円)に基づいてこれを使用しているものである上、有料道路使用料をYが負担することは国土交通省の指導にかなうものであり合理性があるというべきであるから、Xらの上記主張を採用することはできない。

責任

Xらは、YにおけるアルコールチェックがXらの業務従事の可否を最終的に決定するものとなっていた旨や、A社のローリー輸送部門は1年当たり1000万円以上の赤字を出しており事業主としての体をなしていない状態である旨を主張するが、そのような事情が37号告示2条2号ロ該当性を左右するに足りるものとは解されないから、Xらの同主張は失当である(なお、本件運送業務の性質に照らせば、A社に加えてYにおいてもアルコールチェックを行うことについては十分合理性があるというべきである。また、A社が事業主としての体をなしていない事実を認めるに足りる証拠はない。)。

設備

Xらは、A社は、ローリー車について適切な対価を出捐しておらず、B車庫について使用料を支払っていない上、制服やヘルメットを支給していないから、「自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備若しくは器材(業務上必要な簡易な工具を除く。)又は材料若しくは資材により、業務を処理する」ものではなく、また、A社にはローリー運送業務を行う専門技術・経験がない上、自らが提供していない研修を入社の条件としているから、A社は「自ら行う企画又は自己の有する専門的な技術若しくは経験に基づいて、業務を処理する」ものではなく、結局、A社は「単に肉体的な労働力を提供するものでない」旨主張する。

しかしながら、A社が「自己の責任と負担で準備し、調達する機械、設備若しくは器材(業務上必要な簡易な工具を除く。)又は材料若しくは資材により、業務を処理すること」又は「自ら行う企画又は自己の有する専門的な技術若しくは経験に基づいて、業務を処理すること」のいずれかに該当するものと認められることは前記アで説示したとおりであるから(なお、A社において自らが提供していない研修を入社の条件としている事実を認めるに足りる証拠はない。)、Xらの上記主張を採用することはできない。

結論

37号告示に照らして検討すると、A社においては自ら独立して請負事業主としてXらを指揮命令しているものと認めるのが相当であり、単にXらの労務をYに提供しているにすぎないものということはできないから、結局、Yは労務者派遣の役務の提供を受けていた旨のXらの主張を採用することはできない。

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