2023年4月3日月曜日

日本マクドナルド事件・名古屋地判R4.10.26・ジャーナル132-48

退職合意の無効主張 → 合意は有効と判断

1か月単位の変形労働時間制の無効主張 → 無効と判断

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2 争点1(本件労働契約の合意解約による終了の有無)

(1)本件労働契約の合意解約の成否について

〔1〕g OMは、XにPIPを適用した結果、設定した3つの目標のうち2つが未達成となったこと 及び Xが正社員の職位のうち最も低いマネージャートレイニーの立場にあり更に降格することはできなかったことから、Xに対して退職勧奨を行うこととし、

〔2〕退職時期及び退職金額等の条件について検討した上、あらかじめ本件同意書の文面を作成し、第2回面談(2019年1月27日)において、Xに対して退職時期や退職金額等の退職条件について説明して退職勧奨を行ったこと、

〔3〕Xは、第3回面談(同年2月10日)において、「私は、上記の内容を確認の上、理解、納得しましたので、本書記載の退職条件に基づき、2019年4月30日(日付記載欄は手書きである。)に退職することに同意します。」旨記載がある本件同意書に署名押印したこと

が認められる。

以上のやり取りからすれば、第2回面談におけるg OMの退職勧奨は本件労働契約の合意解約の申込みの意思表示に当たり、これに対して、Xは、第3回面談において本件同意書に署名押印することにより、Yの合意解約の申込の意思表示に対する承諾の意思表示をしたものと認められるから、本件労働契約の合意解約が有効に成立したというべきである。

本件同意書の署名押印までには2回にわたって面談が行われていることや、本件同意書には上記のとおり退職に同意する旨の文言が明記されていることに照らすと、Xが本件同意書への署名押印に際して退職の意思を欠いていたとはいえず、上記合意解約についてXの意思の欠缺による無効事由があるともいえない。

(2)本件退職の意思表示の錯誤無効の主張の当否について

ア 表示の錯誤について

Xは、本件同意書に署名しても、その後に退職届を提出しなければ退職にはならないと考えていたから表示行為に錯誤があると主張する。

そこで検討するに、

本件同意書には前記のとおり退職に同意する旨の文言が明記されていること、

Xがg OMから退職届の提出を含む手続について説明を受けたのは本件同意書に署名した後であり、署名時には別途退職届を提出するとは認識していなかったこと

からすれば、本件同意書の署名押印時に正式な退職の意思表示との認識がなかったというXの主張は採用することができない。

なお、就業規則37条1項において、労働者が自己の都合により退職しようとするときは、少なくとも1か月前に退職願を提出しなければならない旨規定しているが、同規定は、労働者からの一方的意思表示による解約に関する手続を定めたものと解されるから、Yと労働者との間で個別に解約合意が成立する場合に適用されるものではない

したがって、Xが、本件同意書に署名押印することによりした承諾の意思表示について、内心的効果意思と表示との間に錯誤は認められない。

イ 動機の錯誤について

Xは、Xに適用されたPIPの目的及び結果は不当なものであったところ、このことを知らず、また、PIPの結果が目標未達成となったため退職以外に選択肢がないと誤信して本件退職の意思表示をしたから、その動機に錯誤があると主張するので、以下検討する。

(ア)PIPの適用の不当性について

前記認定事実の経過に照らしても、YがXを退職させる不当な目的でPIPを適用したような事情はうかがわれず、他に同事実を認めるに足りる証拠はない

Xは、PIPの適用に不当な目的があったことを根拠付ける事実として、c店長が2017年度の業績目標を不当に改ざんしたとの事実を主張する。そこで検討するに、後掲の証拠によれば、Xがc店長に提出したとする2017年度業績目標には期末評価欄に「ナイトのTOTL150秒以内にする」との記載がある一方、c店長が評価を入力してYに提出した2017年度業績目標には「ナイトのTOTL100秒以内にする」との記載があり、内容の一部に相違が認められる。しかし、業績目標は従業員と上長とが協議して設定するものであるから、Xとc店長が協議して目標を変更した可能性も考えられるところであり、上記記載が、直ちにc店長がXの評価を下げる目的で業績目標を改ざんしたことをうかがわせるものとはいえない。また、Xの2014年度から2016年度のPDS総合評価は「2」であったことに照らすと、2017年度のPDS総合評価「2」が従前の評価と比較して不当に低いものとなったことはうかがわれない。したがって、Xの上記主張は採用することができない。

(イ)PIPの実施及び評価の不当性について

PIPで課された目標は、本来は店舗に課される目標であり、いずれもXの努力のみで達成できるものではなく、同じ店舗で働く他の従業員の協力や他の従業員の業務効率の改善等が必要な事項であったことを踏まえると、Xにとってやや難度の高い目標であったものと考えられる

他方、

〔1〕PIPでの評価は、目標とされた数値を客観的に達成することのみならずXの取り組む姿勢等も評価の対象とされていたこと、

〔2〕PIP適用通知書には目標を達成するためのアクションプランが詳細に記載され、アクションプランが計画どおりに進まなかった場合には状況に応じて別の計画を立てるものとされていたこと、

〔3〕他の従業員に働きかけを行い、チームで目標を達成することが期待されていたこと、

〔4〕f OCはPIP期間中に6回の面談を行って進捗状況を確認し、都度、改善すべき点を指摘したこと、

〔5〕目標1については、2018年5月頃にも店舗目標として設定され、目標とされた30秒の基準を達成している時間帯もあったこと、

〔6〕目標3については、6回の点検のうち最後の2回は合格水準に達していたこと

に照らせば、Xに課された目標が達成困難なものであったとまではいえない。さらに、Xが尾骨骨折をしたことやPIP期間中に退職者があったことを踏まえても、PIP期間を中止又は変更すべき事情があったとまでは認められない。

このほか、g OM及びf OCが、目標1及び目標3について、設定した基準に到達しなかったことやXの目標達成に向けた姿勢を踏まえてXのPIPの結果を目標未達成としたことについても、不当な評価であったということはできない

Xは、Xがd店長に提出した2018年度業績目標とd店長が評価を入力してYに提出した2018年度業績目標とでは、記載内容の異なる部分があり、これはd店長がXの評価を下げるために2018年度の業績目標の記載内容を改ざんしたものである旨主張する。しかし、上記各文書の記載内容についてみると、〔1〕「所属店舗/エリアのゴール」欄の「結果78.3」の記載の有無及び〔2〕期末評価の「目標/ターゲットに対する進捗(自身で記入)」欄の項目立ての表記に違いが見られるものの、上記〔1〕については年初に設定した目標を記載する欄であって結果について記載するべきものではないから、d店長が表記を訂正したとしても不合理ではなく、上記〔2〕についても実質的な内容の変更に当たるものとはいえないから、これらの記載内容の変更がXの評価を下げる意図で行われたものとは認められない。したがって、Xの上記主張は採用することができない。

(ウ)以上のとおり、XへのPIPの適用及び結果の評価は不当又は恣意的なものであったことはうかがわれないから、g OMがPIPの結果を踏まえてXに退職勧奨を行うこと自体について不合理な点は見当たらない。また、g OMがXに対して退職するほかないなど虚偽の事実を述べたことも認められない

そうすると、X自身が、PIPの結果を踏まえて今後の進退を検討し、退職勧奨に応じることもやむを得ないと考えて本件退職の意思表示をしたと認めるのが相当であって、Xの本件退職の意思表示の動機に錯誤があったとは認められない

ウ 以上によれば、本件退職の意思表示について錯誤無効をいうXの主張は採用することができない。

(3)退職の意思表示の強迫を理由とした取消しの当否について

Xは、f OC及びg OMから本件同意書への署名を執拗に求められるなどし、本件同意書に署名しなければ不当な扱い等を受けるのではないかと畏怖したから、f OC及びg OMの退職勧奨は強迫に当たると主張する。

しかし、

〔1〕第2回面談及び第3回面談はいずれもe店の近くの喫茶店で行われたこと

〔2〕第2回面談では、f OCがPIPの結果についてフィードバックを行った後、g OMが本件同意書に記載された退職条件や再就職サポートについて説明し、その所要時間は約30分であったこと、

〔3〕第3回面談では、Xが本件同意書に署名押印した後、Xが今後行うべき退職手続等について説明がされ、その所要時間は約20分であったこと、

〔4〕退職勧奨の際、f OCは同席せずg OMのみが対応していたこと

が認められる。また、第3回面談は第2回面談から2週間の期間を空けて設定され、この間にXとg OMとの間で退職に関するやりとりがされた形跡も認められないこれらのことに照らすと、f OC及びg OMがXに対して執拗かつ性急に本件同意書に署名押印を求めたというXの供述は信用できず、他に上記事実を認めるに足りる証拠はない

 したがって、Xの強迫による意思表示の取消しの主張は理由がない。

(4)小括

以上のとおり、Yは2019年1月27日(第2回面談)、Xに対して本件労働契約の合意解約の申込みの意思表示をし、これに対してXは同年2月10日に承諾の意思表示(本件退職の意思表示)をしたことが認められるから、XとYは、同日付けで、同年4月30日をもってXがYを退職する旨の有効な合意をしたものと認められる。

そして、Xは、2019年3月8日、Yの担当者に対して口頭で本件退職の意思表示を撤回する旨を告げた(前記認定事実(9))が、同年2月10日付けでXがYを退職する旨の合意は成立したものであるから、その後になされた撤回の意思表示は効力がない

このほか、Xは、2019年2月10日時点で業務により精神疾患を発症していたから本件退職の意思表示は労働基準法19条1項の類推適用により無効であると主張するが、本件労働契約の終了は合意解約によるものであって、YはXを解雇したものではないからXの主張は理由がない

したがって、本件労働契約は、2019年2月10日に成立した合意解約により、同年4月30日付けで終了したことを認めることができる。

よって、本件請求のうち、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求める請求及び労働契約に基づき2019年5月以降の賃金の支払を求める請求については、いずれも理由がない。

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ア 就業規則による変形労働時間制の定め

被告は、就業規則において、店舗マネージャーの労働時間について以下のとおり定めていた。

(ア)所定労働時間は、毎月1日を起算日とする1か月単位の変形労働時間制とし、1か月を平均して1週間40時間以内とする。

(イ)各社員に対して、前月末日までに勤務割で、各週各日の始業・終業時間を通知する。また、出張その他業務上の都合により、管轄事業場外で労働時間の一部又は全部について勤務した場合で、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間勤務したものとみなす。

(ウ)各勤務シフトにおける各日の始業時刻、終業時刻及び休憩時間は、原則として次のとおりとする。

・Oシフト:午前5時~午後2時(休憩時間:午前9時より1時間)実働8H

・Dシフト:午前9時~午後6時(休憩時間:午後1時より1時間)実働8H

・Cシフト:午後3時~午前0時(休憩時間:午後8時より1時間)実働8H

・Nシフト:午後8時~午前5時(休憩時間:午後11時より1時間)実働8H

(エ)原則として、休憩時間は6時間以下の場合は0分、それを超える勤務の場合は1時間とする。ただし、業務の都合上交替で与えることがある。

(オ)週の起算日は月曜日とする。

ウ 被告における勤務時間管理の方法

被告は、従業員の勤務シフトの管理のため、各店舗において以下の資料を作成していた。

(ア)マネージャースケジュール表(以下「マネスケ」という。)は、店長が作成する、社員及びスイングマネージャー(アルバイトだが社員と同様の権限を与えられた者をいう。)の1か月単位の勤務シフトを記載した勤務割である。

(イ)クルーワークスケジュール表(以下「クルスケ」という。)は、アルバイト従業員を含む全従業員の1日の勤務シフトを記載した表であり、1週間単位で作成される。従業員は、遅刻及び早退した場合の理由や、実際の出退勤時間、変更後の休憩時間を書き込むこととされている。

(ウ)勤務表は、マネージャー各自がマネスケによって指定された自己のシフトを事前に勤怠管理システムに入力しておき、実際の出勤及び退勤時に出退勤時刻並びに実際に取得した休憩時間の入力を行い作成されるものである。

エ e店においては、前記アの就業規則に定める勤務シフトとは異なる、独自の勤務シフトを使ってマネスケ及びクルスケを作成していた。

3 争点2(未払割増賃金の有無及び額)

(1)変形労働時間制の有効性

ア 1か月単位の変形労働時間制が有効であるためには、

〔1〕就業規則その他これに準ずるものにより、変形期間における各日、各週の労働時間を具体的に定めることを要し、

〔2〕就業規則において定める場合には労働基準法89条により各日の労働時間の長さだけではなく、始業及び終業時刻も定める必要があり、

〔3〕業務の実態から月ごとに勤務割を作成する必要がある場合には、就業規則において各直勤務の始業終業時刻、各直勤務の組合せの考え方、勤務割表の作成手続及びその周知方法等を定めておき、各日の勤務割は、それに従って、変形期間の開始前までに具体的に特定することで足りる

とされている(労働基準法32条の2第1項、労働基準局長通達1988年1月1日基発第1号、同年3月14日基発第150号)。

これを本件についてみると、Yは就業規則において各勤務シフトにおける各日の始業時刻、終業時刻及び休憩時間について「原則として」4つの勤務シフトの組合せを規定しているが、かかる定めは就業規則で定めていない勤務シフトによる労働を認める余地を残すものである。

そして、現にXが勤務していたe店においては店舗独自の勤務シフトを使って勤務割が作成されていることに照らすと、Yが就業規則により各日、各週の労働時間を具体的に特定したものとはいえず、同法32条の2の「特定された週」又は「特定された日」の要件を充足するものではない

イ Yは,全店舗に共通する勤務シフトを就業規則上定めることは事実上不可能であり、各店舗において就業規則上の勤務シフトに準じて設定された勤務シフトを使った勤務割は、就業規則に基づくものであると主張する。 

しかし、労働基準法32条の2は、労働者の生活設計を損なわない範囲内において労働時間を弾力化することを目的として変形労働時間制を認めるものであり、変形期間を平均し週40時間の範囲内であっても使用者が業務の都合によって任意に労働時間を変更することは許容しておらず(労働基準局長通達1988年1月1日基発第1号)、これは使用者の事業規模によって左右されるものではない

加えて、労働基準法32条の2第1項の「その他これに準ずるもの」は、労働基準法89条の規定による就業規則を作成する義務のない使用者についてのみ適用されるものと解される(労働基準局長通達昭和22年9月13日発基17号)から、店舗独自の勤務シフトを使って作成された勤務割を「その他これに準ずるもの」であると解することもできない

したがって、Yの主張は採用することができない。

ウ よって、Yの定める変形労働時間制は無効であるから、本件において適用されない。

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(2)消滅時効の抗弁の当否等

事案に鑑み、消滅時効の抗弁の当否等から判断する。

ア 消滅時効1の抗弁の当否

Yは、Xの本件労働契約に基づく未払割増賃金請求のうち2017年3月13日から同年10月31日までの期間に係る部分についての消滅時効1を援用する旨の意思表示をした。

本件労働契約の賃金は原則として毎月末日締め当月25日払いとされていたが、賃金のうち時間外勤務割増手当については、当月25日までに金額を確定させることができないため、翌月25日を支給日とすることが合意されていたことが認められる。

そうすると、Xの請求に係る未払割増賃金のうち、本件訴えの提起日である2019年10月31日から2年前である2017年10月31日の直近の支払日である同月25日支払分までの時間外勤務割増手当に相当する賃金、すなわち、2017年3月13日から同年9月30日までの期間に係る時間外勤務割増手当は、2年の時効(改正前労基法115条)により消滅したことになる

よって、消滅時効1の抗弁のうち、2017年3月13日から同年9月30日までの期間に係る部分は理由があり、その余(2017年10月1日から同月31日までの期間に係る部分)は、本件訴訟の提起時に弁済期から2年が経過していなかったことになるから、理由がない。

イ 追加主張2に係る信義則による主張制限の当否

Yは、Xが本件訴訟提起から約1年2か月以上経過後にした追加主張2が信義則に反し許されないと主張するが、Xが同主張を行う前に主張の追加を行わない旨を確定的に表明していたものではなく、その他本件訴訟手続の経過等を踏まえても、追加主張2が信義則に反するものとまではいえないから、Yの上記主張は理由がない。

ウ 追加主張2に係る消滅時効2の抗弁の当否

(ア)Yは追加主張2に係る未払割増賃金請求権のうち2017年3月13日から2019年1月31日までの期間に係る部分について消滅時効2を援用するところ、そのうち、2017年3月13日から同年9月30日までの期間に係る部分について、時効期間が経過したことは前記アで説示したとおりである。

(イ)そこで、追加主張2に係る未払割増賃金請求権のうち2017年10月1日以降の期間に係る部分について、消滅時効2の抗弁の当否を検討する。

数量的に可分な債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えが提起された場合、訴え提起による消滅時効中断の効力は、その一部についてのみ生じ、残部には及ばないが、上記趣旨が明示されていないときは、請求額を訴訟物たる債権の全部として訴求したものと解すべく、この場合には、訴えの提起により、上記債権の同一性の範囲内において、その全部につき時効中断の効力を生ずるものと解される(2017年法律第45号による改正前の民訴法147条、最高裁昭和31年(オ)第388号同34年2月20日第二小法廷判決・民集13巻2号209頁、最高裁昭和44年(オ)第882号同45年7月24日第二小法廷判決・民集24巻7号1177頁参照)。

また、数量的に可分な債権の一部についてのみ判決を求める旨を明示した訴えの提起は、残部について裁判上の請求に準ずるものとして消滅時効の中断の効力を生ずるものではないが、債権者が将来にわたって残部をおよそ請求しない旨の意思を明らかにしているなど、残部につき権利行使の意思が継続的に表示されているとはいえない特段の事情のない限り、当該訴えの提起は、裁判上の催告として消滅時効の中断の効力を生じ、債権者は、当該訴えに係る訴訟の終了後6か月以内に改正前民法153条所定の措置を講ずることにより、残部について消滅時効を確定的に中断することができる(最高裁判所2012年(受)第349号同25年6月6日第一小法廷判決・民集67巻5号1208頁参照)。

これを本件についてみると、Xの未払割増賃金請求のうち2017年10月1日以降の期間に係る部分は、2019年10月31日に訴えの提起がされており、当初は債権の一部についてのみ判決を求める趣旨であることを明示しないものであったが(当初主張)、その後、追加請求1により明示的一部請求に変更されたことから、残部につき権利行使の意思が継続的に表示されているとはいえない特段の事情のない限り、訴えの提起時(2019年10月31日)において裁判上の催告により時効の中断が生じることになると解される。

そして、追加主張2のうち2017年10月1日以降の期間に係る部分は、当初主張に係る債権と請求期間を同じくし、債権の同一性を有するところ、Xは、訴訟手続において主張の追加を行わない旨を確定的に表明していたものではなく、訴訟提起から約1年4か月経過後に主張を追加したことを踏まえても、残部につき権利行使の意思が継続的に表示されているとはいえない特段の事情があるとは認められない。

(ウ)よって、消滅時効2の抗弁のうち、2017年3月13日から同年9月30日までの期間に係る部分は理由があり、その余(2017年10月1日から2019年1月31日までの期間に係る部分)は理由がない。

エ 小括

以上より、Xの未払割増賃金請求のうち、2017年10月1日から2019年2月12日までの期間の時間外労働時間数について、以下検討することとする。
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